愛された記憶は一生の宝物
見て、まねして、人との関わりを学んでいきます
子育てには、不安や迷いがつきものです。 このコラムでは、「安心には理由がある」という視点から、子どもの育ちを一緒に考えていきます。
毎日、抱っこをしたり、話しかけたり。
泣いたらあやして、眠るまでそばにいたり。
そんな日々の中で、
「こんなに小さいころのことは、覚えていないのかな?」
「今していることは、この子の中に何か残るのかな?」
と思うことはありませんか?

赤ちゃんのころの出来事を、大きくなってから一つひとつ思い出せるとは限りません。
でも、出来事を思い出せることと、その経験が "育ち" につながることは、同じではありません。
たとえ思い出せなくても、身近な大人に受け止めてもらう経験には、ちゃんと意味があります。
泣いたときに、そばに来てくれる。
抱っこをして、落ち着くのを手伝ってくれる。
声を出すと、やさしく応えてくれる。
赤ちゃんは、こうした関わりを重ねながら、少しずつ安心や、人への信頼を育んでいきます。
言葉にするなら、
「困ったときには、助けてくれる人がいる」 「ここにいて大丈夫なんだ」
という感覚の土台です。
泣き声や表情に気づき、声をかけたり、抱っこしたりする。こうした関わりの中で育まれる安心は、心だけでなく、脳の育ちも支えます。
安心できる人がそばにいることは、赤ちゃんが周りに興味を向けたり、新しいことをやってみたりする支えになります。
少し離れて、おもちゃに手を伸ばす。
初めて見るものに近づいてみる。
不安になったら、大人のそばに戻ってくる。
甘えながら、挑戦する。
挑戦して、また安心を確かめる。
子どもの育ちは、そんな行き来の中にもあります。
「愛された記憶」と聞くと、特別な思い出をたくさんつくらなくては、と思うかもしれません。
でも、意味があるのは、特別な日のことだけではありません。
おむつを替えながら、「きれいになったね」と声をかける。
目が覚めたら、「おはよう」と顔を見て話しかける。
泣いているときに、「どうしたのかな」と様子を見て、必要なことを探す。
いつものお世話の中にも、子どもを思う関わりがあります。

もちろん、毎回すぐに応えられるわけではありません。
疲れて、笑顔になれない日もありますね。
一度うまく応えられなかったからといって、それまで重ねてきた関わりがなくなるわけではありません。
少し落ち着いたときに、そばに戻る。
抱っこをしたり、声をかけたりする。
そこから、また関わっていけばよいのです。
また、この安心を育てるのは、お母さん一人の役割ではありません。
お父さんや祖父母、保育者など、子どもを大切に思う身近な大人も、安心できる関係を育んでいけます。
誰かに頼ることも、子どもと自分を大切にする方法の一つです。
今、抱っこしている時間。
声をかけている時間。
一緒に笑っている時間。
その一つひとつは、あとで思い出せるかどうかにかかわらず、今の子どもの育ちを支えています。
子どもは、自ら育とうとする力を持っています。その力を支えるのが、安心できる大人の存在です。
『愛された記憶』とは、思い出として語れるものだけではありません。
大切にされ、安心できる人がいるという経験も、これからを生きる支えになっていきます。
安心には理由があります。
育児や保育のことで気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。
未来幼児教育研究所 所長/安心子育てアドバイザー 鈴木 甲子




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